Virtual Acoustic Synthesizer Owner's Manual
第4章 VL7を知る − パート2 65
VA音源のしくみ
管楽器または弦楽器の音の出るしくみを分析すると、次のように大きく2つの部分に
分けられます。VA音源は、このしくみを忠実に再現することで音を作り出します。
生楽器のマウスピース、息の強さや口の締め付け具合、弓の使い方など、音を生み出
すためのきっかけの役割をするのが、「ドライバー」の部分です。
管楽器を例にとって説明すると、この「ドライバー」はリードの動き、空気の圧力を
計算し、それから管の内部に入る空気の流速を算出して「パイプ/ストリング」に送
り込みます。
擦弦楽器を例にとると、弦の速度、弓を弦にあてる強さ、弓の速度から弓の摩擦が弦
におよぼす力を算出して「パイプ/ストリング」に送り込みます。
これらの流速や力は「パイプ/ストリング」の状態に強く影響され、一瞬、一瞬で細
かく変動します。実際には、この連続した変動=「波動」が「パイプ/ストリング」に
送り込まれ、その中で「共振」して音が生まれます。
また、「パイプ/ストリング」で共振した音だけでなく、この「ドライバー」自身の出
す音(たとえば息のもれる音やリードの振動の音など)も楽器に色付けをする重要な
要素です。
ビールビンなどのビンに唇を付け、軽く息を吹き込むと「ボーッ」っという音が鳴り
ます。また、糸の両端をいろいろな長さで固定してはじくとやはり「ブーン」という
音が鳴ります。
この「音が鳴る」という部分を担当するのが、「パイプ/ストリング」です。
管または弦に、「ドライバー」で計算された波動を送り込むと、どのように管または
弦で「共振」し、音が生み出されるかを計算する部分です。この部分で生み出された
音が楽器の音の中心となります。
「ドライバー」と「パイプ/ストリング」は、お互いに非常に複雑に影響しあって、楽
器の音色を生み出します。